時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国の恐ろしきエスニック・クレンジング

 新聞報道によりますと、中国政府は、ウイグル自治区から独身の女性を都市部に強制移住させることにより、ウイグル族の消滅を図っていると言います(産経11月10日付朝刊)。チベットにおきましても、漢民族を移住させることにより、チベット族を少数派に追いやる政策を進めていますが、これらの中国の政策は、エスニック・クレンジング(民族浄化)に当たるのではないか、と思うのです。

 旧ユーゴスラヴィア紛争に際して、セルビアミロシェヴィッチがモスレムの人々に対してエスニック・クレンジングを行った時には、国際社会から轟々たる非難が浴びせられたものです。しかしながら、大国、かつ、国連の常任理事国である中国の行為に対しては、中国政府に届くほどの非難の声が聞かれないのです。こうした蛮行が放置されるとしますと、アジアの将来は暗いとしか言いようがありません。何故ならば、古来、ユーラシア大陸では、他の民族を征服する時の手段として、こうした手法が用いられてきた歴史があるからです。もしかしますと、アジアは、時代を大きく逆流してしまうかもしれません。

 日本国が、アジアの将来を切り開く役割を担うとしますならば、中国の蛮行には、断固とした抗議の態度を取らねばなりません。ここで、日本が怯んではならないと思うのです。