時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

韓国に請求権なし―戦前は植民地支配は国際法上合法であった

 慰安婦と戦時徴用に続き、今度は、長崎と広島における韓国人被爆者が、対日賠償を念頭に、裁判所への提訴に踏み切ったそうです。竹島問題については、ICJへの提訴から逃げ回りながら、対日要求に限っては、司法権を振りかざす韓国の態度は、支離滅裂です…。

 個人賠償に関する韓国の最高裁判所の見解とは、1965年の日韓請求権協定は、サンフランシスコ講和条約上の案件であって、植民地支配に対する賠償は別である、とするもののようです。つまり、二重取りを画策しているわけですが、韓国は、植民地支配を根拠として、賠償を請求することはできるのでしょうか。兎角に忘れられがちですが、戦前にあっては、植民地支配は、国際法上、合法行為でした。民族自決の原則は、19世紀後半からトルコ帝国からの独立に関連して主張されるようになり、第一次世界大戦後のヴェルサイユ講和会議で、アメリカのウィルソン大統領によって、14か条の原則の一つとして提唱されましたが、国際法においては、植民地支配を明示的に禁じる法は存在していませんでした。当時、欧米列強は、アフリカやアジア諸国を植民地として合法的に保有していたのであり、民族自決権が法的にも認められるようになるのは、国連憲章において民族自決権が言及されるようになった以降のことなのです。このため、アフリカやアジアの諸国が独立するに際して、植民地支配に関する賠償が、旧宗主国に対して請求されることはありませんでした。

 今日では、国際社会において、民族自決の原則は確立しており、チベットウイグルに対する中国の支配が批判されるのも、それが、民族自決権の侵害に当たるからです。しかしながら、戦前にあっては、植民地支配は合法であり、しかも、日韓の場合には、併合条約に基づくものですので、韓国に植民地支配を根拠とした対日請求権は、あるはずもないのです。

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