時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

呆れるアジア開発銀行

 本日の産経新聞朝刊に、アジア開発銀行に関する記事が掲載されておりました。この記事を読んで驚いたことは、外務省でさえ控えるようになった中国内陸部のインフラ整備事業に対して、巨額の融資を続けているというのです。

 中国内陸部のインフラ整備が、何故、問題になるのかと言いますと、第一に、道路や鉄道などのインフラが軍隊や兵器の大量輸送に利用されることになれば、日本国の安全をも脅かすということです。もちろん、対外問題のみならず、中国政府にとりましては、もしやの内乱に備えるためにも是が非でも整備したい事業ということになりましょう。

 第二に、新聞記事で指摘されたとおり、融資対象の事業が、チベット族ウイグル族モンゴル族など、少数民族の人々が住んでいる地域に集中しているということです。これは、間接的に、中国政府によるチベットウイグル支配を支援していることになります。チベットに直接乗り入れる青蔵鉄道の開設により、漢人流入と資源の持ち出しが増加し、さらには軍によるチベット弾圧の危機が高まったことは、よく知られています。

 第三に、アジア開発銀行を名乗りながら、融資の対象が中国に偏重しており、本来、資金を必要としている他のアジアの諸国が蔑にされていることです。これでは、アジア開発銀行は、財務省が設けた中国向けの隠れた”現金支払機”と揶揄されそうです。

 以上の点に鑑みて、日本国と同額の出資国であるアメリカが、資金調達力を持つ中国に対する融資の見直しを提起し、より貧しい国への優先的な融資を主張することになりましたが、この件に関しては、アメリカの言い分に道理がありそうです。国際機関という衣を纏い、日本国の国益を損なうとともに、中国の覇権主義をも財政面から支える役割をアジア開発銀行が果たしていたとしますと、まことに、呆れるばかりと言えそうです。国際機関”性善説”を廃し、外部からのチェックをより強めるべきではないか、と思うのです。

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