時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

飽食の時代にさようなら

 昨今の相次ぐ食料品や原材料の値上げにより、消費者に加えて、食品会社や飲食店でも、収益の悪化に苦しんでいると伝えられています。当面の対策としては、1.製品やメニューの価格を上げること、2.より安価な材料に切り替えること、そうして、3.量を減らすことの三つが考えられます。この中で、現在の日本国の状況から考えますと、量を減らす方法が、最もマイナス影響が小さいと思うのです。

 第一に、日本国は、食料品の破棄率が高く、しばしば、飢餓に苦しむ国が多い中で、”贅沢である”と指摘されてきました。破棄率が高いということは、本来の必要量よりも多く提供していることを意味しますので、量を減らすことは、無駄を省くことにも繋がります。

 第二に、飽食の時代に特有の病理でもある、メタボ対策としても有効です。メタボは、成人病の原因として指摘されており、国民の多くが適正な体重を保てるようになれば、医療費の抑制にも貢献するかもしれません。

第三に、教育の側面から見ますと、食べ物を大切にする心が育つかもしれません。自然の恵みと、お百姓さんに感謝をし、食べ物を決して粗末にしないという教えは、日本国のかつての美徳でもありました。

 製品価格を挙げますと、ストレートに物価上昇率に繋がりますし、より安価な食品や原料に切り替えますと、輸入品が増えて安全性に問題が生じるかもしれません。また、家計のエンゲル係数の上昇は、可処分所得の減少と他の製品分野における消費を冷え込ませることにもなります。

 肥料価格の大幅な値上がりが報じられ、また、食糧自給率が低い状況にあって、食糧問題は、国民にとって、より身近な危機になりつつあると思うのです。

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