時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

密室の党首会談は疑心暗鬼を生む

 福田・小沢両党首による党首会談は、結局、民主党側の大連立拒否と小沢氏の辞意表明という事態に至いることになりました。ところで、この党首会談の合意内容は、あろうことか、両サイドの主張するところが大きく食い違っているのです。

 この食い違いは、自衛隊の海外派遣のための恒久法について生じました。小沢氏によりますと、福田氏は、大連立さえ成立できれば、恒久法については国連決議の条件とする小沢氏の案に譲歩し、かつ、給油法の成立にもこだわらない、と述べたとしています。一方の福田氏は、この発言を否定しているのですが、当然、どちらかが、”うそ”を付いていることになります。もし小沢氏の発言が真実であるとしますと、福田氏は、全面的に民主党に対して譲歩のみを行ったことになりますのから、俄かには信じがたいのですが、福田氏の政治信条を思い起こしますと、あながちあり得ないことでもありません。一体、どちらが”うそ”をついているのでしょうか?

 そもそも、密室での党首会談を行うという手法は、後々、疑心暗鬼を生むことになります。本当のことは、当人たちしか知らないのですから、特に、今回のような食い違いがありますと、誰も事実を確認しようもありません。結果として、両者とも、自党からも、他党からも、そうして国民からも怪しまれてしまうのですから、不透明な密室党首会談という政治手法は、今後は止めてほうが良いのではないか、と思うのです。