時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

もし財政赤字をゼロにしたら

 もし、政府の財政赤字をゼロにすることができたら、どのようなことが起こるのでしょうか?もちろん、ゼロへの道のりは遠いのですが、予算に9兆5千億円ばかりの余裕ができるのです。

 単純なお話しなのですが、この額は、2007年度予算の国債の利払い分なのです。今年度の国の予算は、総額で約83兆円ほどですが、このうち利払いを含めた国債費は約21兆円であり、その約半分が、利払いに費やされているのです。現在、社会保障費の増加や国民年金の国庫負担分の拡大を前にして、増税論が盛んです。しかしながら、ゼロとは言わないまでも、国債の発効総額を減らすことによって、日本国の財政状況はかなり改善されるのです。ある意味において、政策経費ではない利払いこそ、最も削減できる予算分野であるかもしれないのです。

 このことを考えますと、予定されている国民年金の国庫負担分の2分の1引き上げは、実施時期を延期した方がよいかもしれません。特に、公的年金制度については、抜本的な制度改革を行うならば、議論を行う時間的な余裕も必要です。しばらくは、増税せずして歳出削減に努め、国債発行額を削減して予算に余裕ができた時点で着手しても遅くはないと思うのです。