時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

万能細胞の研究は社会保障政策も救う

 先日、京都大学ウィスコンシン大学の研究グループが、世界で初めて万能細胞「iPS」の作成に成功したという驚くべきニュースが世界を駆け巡ることになりました。この成功は、日本国のみならず、人類への朗報として世界各国に伝えられたのです。

 ところで、この万能細胞の研究が進みますと、将来的には、骨髄損傷で車いすの生活を余儀なくされた人々や、臓器の損傷や機能低下に起因する難病の人々などが、健常者として社会復帰することができるようになるかもしれません。患者さん本人はもとより、この治療法の発展は、大幅に障害者となる人々の数を減少させることになりますので、政府にとりましても、望むべき方向と言えましょう。多くの人々が、健康に生活を送ることができる社会が、もう目の前に来ているのです。

 しかしながら、他の諸国が先端的な研究開発に多額の予算を付けているのに対して、日本国の政府は、極めて消極的であると言います。せっかくに、最先端の研究成果を上げたのですから、この研究の実用化に向けて大いに助成するべきではないのでしょうか。長期的に見ますと、社会保障費を減らす効果もあるかもしれないのですから、初期投資は、決して無駄とはならないと思うのです。