時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

アジアの時代の不安

 近年、特に冷戦崩壊後においては、アジアの時代の到来が華々しく喧伝されるようになりました。その背景には、中国を筆頭に、めまぐるしい経済成長を遂げる諸国の存在があります。しかしながら、このアジアの時代には、懸念材料も多くあるのです。

 現在、民主党のみならず与党内部でも、アジア諸国との関係を重視する親中派の人々が多数おります。東アジア共同体というスローガンも掲げられたことがありますが、し国際化の名におけるアジアとの関係強化が、必ずしも、日本国、ならびにアジア諸国の政治を向上させることにつながらない場合も想定できるのです。このことは、中国、北朝鮮ビルマベトナムなどに対する日本国の政策を見ましても、その予兆が見えています。つまり、一党独裁軍事独裁の諸国が、むしろ、その体制を強化してきており、こうした諸国との関係強化が、日本国から自由、民主主義、法の支配といった価値を蝕んでゆく可能性があるのです。

 日本国が、こうしたアジアの独裁諸国に対して融和政策をとるならば、抑圧体制下にある相手国の国民は不幸になってしまいます。政府間関係の友好が、国民の犠牲の上に立つものであるならば、アジアに明るい将来の展望を描くことができなくなってしまいましょう。アジアのために何ができるのか、日本国政府および国民は、真剣に考えるべきではないか、と思うのです。