時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

竹島問題―自ら外交的敗北を進める外務省―

 新学習指導要領の中学社会科の解説書に、竹島を「我が国固有の領土」と記述することに対して、外務省がクレームを付けている言います(本日付産経新聞朝刊)。その理由は、日韓関係が悪化する、ということらしいのですが、外務省のこの方針は、明らかに、自国の外交的敗北を推し進める政策ではないか、と思うのです。

 何故ならば、”権利の上に眠っていた者は、法の保護に値しない”という考え方が、法の世界にはあるからです。これは、時効において、しばしば引き合いに出されるのですが、国際司法裁判所でも、判例によれば、積極的に自らの権利を主張しなかった側に、不利な判決がなされる傾向にあるようです。つまり、自らの権利を守ることを怠った場合、その権利が、法によって保護されなくなる可能性があるのです。

 外務省もまた、こうした認識が当然あるわけですから、敢えて、自国の権利主張に待ったをかけるとなりますと、これは、自らの国に対する背信とさえ受け取られかねません。竹島の領有権問題を、国際司法裁判所に挙げることに成功したとしても、自らの行為の怠慢がたたって、不利な判決をうけることになったとしたら、それこそ、愚かな不覚と言うものです。外務省は、表面的な友好関係を取り繕うよりも、自国の権利を全力で守ることに努めるべきではないか、と思うのです。

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