時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

不完全な核査察―日本国のカードはNPT改正―

 北朝鮮の核放棄に向けた交渉は、一先ずは、IAEAが関与する核査察で合意に至ったようです。しかしながら、これで安心、という状態からはほど遠く、すでに北朝鮮は、軍施設への立ち入り禁止など、条件闘争を始めているようです。

 核兵器を貯蔵する場所は、兵器である以上、軍施設以外考えられず、最も怪しい場所に立ち入りができないとなりますと、当然に、北朝鮮が核を隠し持つという可能性は格段に高まります。あるいは、北朝鮮が主張する条件付き査察に合意した時点で、六カ国、そうして、国際社会は、北朝鮮の核保有を暗黙裡に認めたことになるかもしれません。こうなった場合、日本国は、どのような対応を取るべきなのでしょうか。

 北朝鮮が、核攻撃を示唆して、日本国を脅すことは大いにあり得ることです。この状況を放置しますと、日本国は、未来永劫にわたって、北朝鮮の軍事的な圧力にさらされることになるのです。もちろん、これでは、日本国が、NPTを遵守し、核武装を控える理由はまったくなくなってしまいます。何故ならば、本末転倒なことにも、NPT体制が、”抜け駆け国家”の軍事的な優位を保障することになってしまうからです。

 今後の六カ国協議にあっては、もし、不完全な核査察で済ますならば、日本国政府は、自国の核武装を、NPTの改正要求を通じて求める用意があることを明言すべきではないか、と思うのです。条約違反を行った国を守るためにNPTが存在するに至るならば、それが存在していること自体が、非核保有国にとって脅威になりかねないのですから。

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