時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北方領土交渉は100年の計で

 洞爺湖サミットに先立って、ロシアのメドヴェージェフ大統領は、北方領土問題を未解決の問題とし、日本側と交渉を進める用意があることを表明しました。このロシア側の柔軟姿勢への転換は、日本国にとっては千載一遇チャンスなのですが、その一方で、同大統領とNHKとのインタヴューでは、”急ぎ過ぎると全てが台無しになる”といった内容の発言も聞かれました。それでは、この交渉、どのように進めるべきなのでしょうか。

 日本側の譲れない点が、北方領土は自国の領土であることは当然のことなのですが、この問題は、第二次世界大戦の総決算と人類の行方に大きくかかわってきます。国際の安全と平和を考えますと、戦争による領土の割譲は認めるべきではなく、ロシアもまた、第二次世界大戦によって領土を拡張させたことは、国際秩序の原則に違反しているのです。そこで、日本国、ならびに、国際社会にとって、目指すべき最終ゴールは、北方領土の日本側への返還ということになりましょう。

 しかしながら、未だに覇権主義的な発想から抜け出られないロシアが、この提案を、すんなりと受け入れるはずもありません。そこで、ロシアが、最終的に領土を返還する時期を、50年とか、100年とか、比較的遠い将来に設定してはどうか、と思うのです。返還までの過程における具体的なプロセスについては、時間をかけて交渉するとしても、まずは、ロシア側が受け入れ可能な期間を設定すれば、国際秩序を壊すことなく、また、第二世界大戦の意義を損なうことなく、領土問題は解決するのではないでしょうか。つまり、返還時期に関する交渉を先に進め、両者が合意点に達した時点で、平和条約を結ぶのです。たとえ、100年や200年といった長い年月をかけてでも、原則を貫くことが肝要であると思うのです。

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