時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

定額給付金は無理では?

 2兆円もの予算をつぎ込んで実施されるという定額給付金政策は、実現可能なのでしょうか。もしかしますと、物理的に無理なのではないか、と思うのです。

 政府の方針としては、1800万円以上の高額所得者には辞退を促すとう方法で、ばらまきの批判をかわすそうです。そうなりますと、給付金の郵送や口座振り込みという方法は採れなくなりますので、市区町村の役所の窓口で、それぞれの世帯主、あるいは、個人が受け取るという方法をとならざるを得なくなります。人口規模の小さな地区では問題は起きないかもしれませんが、支給対象は、ほぼ全員なのですから、都市部などの人口規模の大きなところでは、相当の混乱が予測されます。第一に、窓口の数が限られていますから、地区の住民が押し寄せ、窓口の前に長蛇の列ができると考えられます。しかも、不正受給はあってはなりませんので、身分証明と本人確認に相当の時間を要することになります。第二に、この問題を解決するために、受取時間を指定するとしますと、これも、調整に時間がかかりそうです。住民からは、指定時間に来れないとか、時間の変更を求める苦情が殺到することでしょう。第三に、辞退者の給付金の”成りすまし”受給がないよう、厳格なチェックも必要です。

 これまで、国民全員への給付金の支給という政策は行われたことはなく、行政組織も、こうした事態を想定してはいません。一回きりの政策のために、膨大な行政費用と事務手続きを要することになるのです。また、選挙対策としましても、給付を受けてしまえば、国民は、与党に投票するインセンティヴはなくなりますので、効果も期待薄です(本当は、あってはならないことですが・・・)。三年後に消費税が10%に挙げられれば、国民は、給付額を大きく上回る税金を納めねばならず、また、景気後退を受けて、倒産数も増加していると報じられています。2兆円の予算があるならば、カンフル剤に過ぎない給付政策よりも、より有効な使い方があるのではないでしょうか。国民は、本法案には反対すべきですし、政治家の方々には、ぜひ、この法案の再考をお願いしたいと思うのです。

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