時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

田母神前航空幕僚長批判の不思議

 田母神前航空幕僚長が執筆した論文をめぐり、政治家とマスコミは、こぞって非難の大合唱を繰り広げているようです。しかしながら、この批判によって、メリットを得る国はあるのでしょうか。

 日中戦争の相手国であった中国を見てみますと、日本国に対する”侵略非難”は、当然に、チベット侵略にブーメランとなって返ってきます。しかも、チベット侵略は、第二次世界大戦後のことであり、かつ、一方的な武力の行使ですので、疑いなく中国の行為は侵略認定を受けることになります。

 それでは、韓国や北朝鮮はどうでしょうか。両国については、李氏朝鮮国が、清国に服属していたところを、日清戦争によって独立のチャンスがめぐってきたのですから、この戦争自体を否定はしないはずです。日本という外国の力を借りながら、一先ずは、独立国の地位を獲得できたのですから。1910年に日韓併合はありましたが、日本国本土のように空爆されることもなく、戦後は、独立戦争を戦うこともなく建国することができました。しかも、現在においては、竹島を実効支配ており、これも、国際法違反の行為です。

 最後に欧米諸国を見てみますと、これらの諸国にも、それ程のメリットがありそうにも思えません。田母神氏は、日本国が独立した主権国家として、集団的自衛権の行使ができる状況を目指しておりますので、この方針は、アメリカの意向と一致しています。また、かつてアジアに植民地支配を敷いてきたヨーロッパ諸国にとっても、批判の矛先が、自らに向けられるというリスクがあります。

 それでは、何故、政治家とマスコミだけが、これほどヒステリックに騒いでいるのでしょうか。国民の信頼を損ねるとか、諸外国を刺激すると懸命に理由づけしていますが、国民は極めて冷静ですし、諸外国のメディアも、この事件を大きく扱ってはいないようです。日本国内の政治家とマスコミの態度は、どうにも不思議で仕方がないのです。

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