時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国籍法問題に見る民主主義の危機

もし、国籍法改正案が、大々的にマスメディアを通じて国民に知らされたとしたならば、どのような反応が起きるでしょうか。民主主義国家でありながら、国民が知らないうちに重要法案が通るとなりますと、これは、我が国の民主主義の危機となります。

民主主義が機能するためには、政治参加の権利を持つ国民に、政治についての情報が十分に伝わるシステムが必要です。特に、全ての国民の権利や義務、あるいは、国家、社会、家族のあり方の根本にかかわる問題については、国民には知る権利があります。もし、NHKが公共放送である積極的な意義があるとしますと、この国政に関する情報伝達をおいて他にありません。NHKには、ニュースでの報道のみならず、国会で審議されている法案の趣旨や問題点について説明を行う番組があってもよいくらいです。ところが、近年のNHKのニュースを見ておりますと、どうでもよいような話題ばかりを優先し、肝心の情報伝達の役割を怠っているようなのです。もちろん、民放が、国民の関心を呼び覚まし、議論を起こしてくださればよいのですが、国籍法改正案について、積極的に報道を行っている放送局はなさそうです。また、新聞各社の扱いも決して大きくはなく、国民は、事実上、情報から遮断された状況にあるのです(寝た子を起こさない?)。

国籍法改正の危険性をいち早く知った人々の中からは、強い反対の意見が聞かれ、これが、全国民に知らされるとなりますと、相当の抵抗が起きるものと思います。民主主義とは、参政権によってのみではなく、知る権利によっても支えられています。むしろ、情報なき参政権は、道を誤る原因となります。参議院での採決は今月28日に予定されているそうですが、ぜひ、マスメディアは、国民の利益のために、国籍法改正案で危惧されている様々な問題点を、国民に広く知らせていただきたいと思うのです。

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