時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

重国籍は”分身の術”?

 国籍法改正案については、既に多くの問題点が指摘されていますが、その付帯決議に記されたという重国籍の検討にも、大きな問題が潜んでいると思うのです。それは、一人の人間が複数の人間に化ける”分身の術”の問題です。

 もし、一人の人が、複数の国の国籍を取得できるとすると、その人は、戸籍や住民登録もまた、複数の国で行うことができることになります。現在、外国に本籍を持つ人でも、日本国籍さえ取得できれば、日本国でも新たな戸籍を合法的に設けることができるはずです。こうなりますと、同一人物が、二つの国で別々の国民として存在することになり、一人が二人になってしまうのです。

 さらに、忌々しきことに、国籍には、参政権の付与が伴いますので、この一人の人は、二つの国で、政治的な権利を行使することができます。つまり、一般の人の二倍の権利を持つことができるのです。もし、この人が、本心において自らの出身国に帰属意識をもっているとしますと、もう一方の国における参政権は、出身国の利益のために行使されることになります。このような状況が発生しますと、重国籍の承認は、合法的な内政干渉の経路となりましょう。

 万が一、重国籍を認めるとしても、権利も義務も二分の一としなければ公平ではありません(○重国籍ならば○分の1)。また、国内にあってさえ、創価学会が、地方選挙において参政権の倍増を行っているという根強いうわさもあり、今度は、国境を越えた分身の術が使われるようになるかもしれません。国籍法改正案に加えて、この重国籍の問題も、十分に議論すべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申しあげます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>