時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国籍法改正案採択の危機

 報道によりますと、欠陥法案として危険性が指摘されている国籍法改正案が、本月5日の参議院本会議で成立する見込みとなったと言います。犯罪防止のための十分な手段が整えられたわけでもなく、また、国民の多くが不安が解消されたわけでもない状況で、本当に、この法案を通過させてもよいのでしょうか。

 人間とは、通常、危険を察知した場合には、その対処を考えてから行動を決定するものです。しかしながら、今回の国会議員の方々の対応を見てみますと、この基本的かつ良識的な行動パターンから大きく逸脱しているのです。むしろ、命を失うような事故を起こすかもしれないのにも拘わらず、後先構わずに暗闇に向かってアクセルを踏む暴走族のようです。そうして、車に同乗させられている国民が、暴走を止めるように声を張り上げても、素知らぬふりをしているのです。しかも、その車には、重大な欠陥があるのですから、他者を自己に巻き込む怖れもあり、これ程に危ない状況はありません。

 戦後、個人主義が主流となり、国民は、国家の一員であるという意識が希薄となりました。その結果、政治家でさえ、自分の利益しか目に入らなくなってしまったようです。民主主義は形骸化し、選挙は見せかけの手続きに過ぎなくなりました。選ばれた国会議員も、自分で考えることなく、得たいの知れない集団の意思に流されているだけです。国籍法案改正案をめぐる経緯は、日本国が直面しているこの危機を、国民への警告として、現わしているように思うのです。

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