時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

暴走する最高裁判所

 本日衆議院で可決された国籍法改正案については、最高裁判所違憲判決を前提とした立法という意味において、極めて異例な立法であったと言えます。そもそも最高裁判所には立法請求権があるのか、という問題についての議論が抜け落ちており、釈然としない部分を残しているのです。

 最高裁判所違憲の根拠とした国民意識の変化とは、国民が決めることであって、少数の裁判官が、恣意的に決定するものではないはずです。にもかかわらず、最高裁判所は、勝手に国民の意識が変化したと決め付け、違憲判決を下した上で、立法府に立法措置を促しました。民主主義の原則から考えますと、発案者が裁判所ということになるのですから、全く国民が無視されていることになります。国民全員に関連しながら、当然に、選挙は関係なく、マニフェストにも全く記載があるませんでした。英米法系の諸国では、判例が、法の役割を果たすことがあり、裁判所が、一定の立法作用を持つとも言われいますが(反面、判例が変われば、ルールも変わる・・・)、日本国の法体系は、大陸法系ですので、司法には立法権限はなく、制定された法に基づいて判決を下さなくてはなりません。しかしながら、今回のケースでは、違憲立法審査権を過去に制定された法律に対して行使し、法律制定時には合憲であっても、現在では違憲であるとする奇妙な判決を行ったのです。

 もし、こうした違憲判決が可能であるならば、すべての法律は、今後、最高裁判所によって違憲とされる可能性を含むことになりますし、最高裁判所の意見に従って、国会は、法律を制定しなければならないことになりましょう。これでは、裁判所が、法の安定性や信頼性を揺るがしているとさえ言えます。権力分立を考えますと、司法部の暴走を抑制する仕組みも必要となるのではないか、と思うのです。

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