時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

個人が国家を悪用できる国籍法改正案

 最高裁違憲判決を受ける形で国会に提出されている国籍法改正法案は、国家と国民の関係について、極めて重要な問題を提起していると思うのです。それは、一個人であっても、国家を悪用することができるからです。

 普段の日常生活を送っている限りでは、誰も、自分の個人的な行動が国家に影響を与えるとは意識しないものです。しかしながら、国籍を介して、国家と個人が権利と義務の関係で繋がっていることを考えますと、国籍に関しては、個人の問題とも言い切れない部分があるのです。国籍とは、国民が、国家から保護されたり、給付を受けたり、あるいは、国籍国の政治に参加する権利であり、個人の私的関係で完結する権利ではありません。出生とともに自動的に付与され、存在そのものが生むという特異な権利であるとともに、それらの権利を保障するのは、国家の側の義務となります。この特徴を考えますと、国籍法の改正によって”偽装認知”が増えるのは当然のことです。偽装認知をした本人は、何らの経済的な負担を負うこともなく、国という他者にそれを転嫁することができるからです。偽装認知する側も、される側も、両者とも何らのコストや犠牲を払うことはないのですから、このビジネスが繁盛しないはずはありません。

 国会議員の方々は、結果として認知ビジネスが蔓延る可能性の高い本法案については、十分な審議を行い、利己的な人物が、国家を悪用する道を絶っていただきたいと思うのです。

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