時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

政府見解は国民の合意の上で

 田母神論文に端を発して、麻生首相は、シビリアン・コントロールの徹底を図る旨の発言をされたようです。既に、日本国憲法下にあって、軍人が閣僚となることが禁じられ、制度上においてはシビリアン・コントロールが既に成立しているのですが、それ以上の強化となりますと、政府見解と異なる思想を持つ自衛官は粛清する、あるいは、外部への論文投稿を全面的に禁じる、ということかもしれません。

 どちらにしましても、議論を呼ぶことになりそうなのですが、一つ忘れてはならないことは、もし、そこまで政府見解を絶対視するならば、それには、国民の合意が必要と言うことです。村山談話河野談話も、およそ、両人の私的な見解が、文章化されて公表されたものです。そのプロセスに、国民は、一切、関わっていません。つまり、非民主的な手続きによって一方的に宣言されたものに過ぎないのです。

 アメリカの大統領選挙では、候補者のアフガン戦争やイラク戦争をめぐる評価の違いが、有権者の支持を左右するという現象が見られますが、もし、政府見解なるものが、踏み絵となるほど重要であるならば、各政党は、選挙に際してマニフェストの中に、自らの”歴史観”を示すべきと思うのです(政府が、国定の歴史観を制定すること自体、問題であるとは思うのですが・・・)。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>