時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

歴史認識を示す政府見解とは何なのか?

 田母神元空自幕僚長の更迭を受けて、民主党の鳩山氏は、政府および防衛庁に対して、今後とも厳しい追及を行うと息巻いているようです。それでは、民主党が政府に絶対に守るべきと詰め寄った政府見解とは、一体、何なのでしょうか。

 首相や内閣官房長官の談話とは、閣議で了承されたものとは言え、法的な拘束力があるものではありません。もちろん、新たな政権が成立したり、歴史的な事実が判明することにより変わりうるものでもあります。そうして、何よりも疑問に思えることは、これらの談話が、必ずしも民意を反映しているわけではない、という点です。特に、河野談話に至っては、諸外国から、日本国政府従軍慰安婦の強制連行を認めた、と理解されることになり、米下院では、非難決議の根拠とされてしまいました。明確な証拠が存在しないため、この見解に首を傾げる国民も多く、政府見解が、国民の合意に立脚しているとは思えないのです。

 折しも、村山談話河野談話が発表された時期とは、中国や韓国で反日運動が吹き荒れていた時代でもあり、これらの政府見解は、外向きに示された政治的妥協であったと言えます。つまり、国内的な合意を欠いた形で発表されたのであり、このことを考えますと、民主党の政府攻撃は、国民よりも、中国や韓国の立場に立つものと理解できるのです。政府が、政治的に特定の歴史観を示すこと自体、事実解明が不十分な状態にあっては無理なことなのですが、いたずらに政府見解を金科玉条とする前に、政府見解とは何かを、もう一度問い直すべきと思うのです。

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