時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

福祉国家の国籍は価値が高い

 働くことなく月々十数万円の収入を得ようとすれば、今日のような低金利時代にあっては、相当額の預金や有価証券を保有していなくてはなりません。医療費などの突然の出費への備えも合わせますと、かなりのお金持ちでなくては、月十数万円といった所得を得ることができません。

 しかしながら、日本国の国籍を保有しているだけで、実は、高額所得者と同程度の収入が保障されているのです。それは、生活保護制度といった高福祉制度が、日本国にはあるからです。自国には福祉制度が整っておらず、さしたる財産もない外国の人々にとって、この制度は魅力です。しかも、法の抜け道を利用すれば、手軽に手に入る権利であるとしたら、不正申告を行う外国人がたくさん出現しても不思議ではないのです。日本国籍の価値は、決して低いものではありません。

 個人主義の時代を生きているようで、実のところは、国家の高福祉化は、国民を相互扶助の絆で結びつけています。この側面はまた、政府が、国民を無制限に拡大させることが、国庫の財源が有限である限り、無理なことをも示唆しています。仮に、本法案が可決されるとしますと、政府は、社会保障費の増加に備えて財源を準備をしなければなりませんし、最悪の場合には、増税か、あるいは、給付額の減額(福祉レベルの低下・・・)を迫られることになりましょう。

 国民の枠組みとは、アイデンティティーを共有し、意識において相互扶助を受け入れられる範囲において成立するのではないでしょうか。不正によって国籍を獲得した法律上の”国民”に対して、日本国民が、これを受け入れ難いと考えることは理解に難くなく、国籍法の改正には、慎重であるべきと思うのです。

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