時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

生活保護不正―弱者のための制度悪用こそが問題の核心

 芸能人の河本氏や梶原氏の生活保護不正受給事件を契機に、生活保護制度の見直しが議論されるようになりました。国民の多くが両氏に対して批判的である一方で、マスコミや左派政党などからは、”弱者の切り捨て”として、批判者を糾弾する声も聞かれます。

 しかしながら、問題の核心は、両氏が、弱者のための制度を利己的な理由から悪用したことにあるのではないでしょうか。言い換えますと、不正を働いた場所が、生活保護という弱者のための制度であったからこそ、これらの行為が、なおさらに激しい批判に晒されることになったのです。福祉施設への郵便料金優遇制度を悪用した郵便不正事件やカンボジアに特別に認められていた途上国枠を奪った猫氏のオリンピック出場取り消し事件なども、同様の理由から、世論の反発を買いました。福祉制度の悪用は、最も卑怯な行為であるからこそ、”許せない”とする悲憤慷慨の感情を招くのです。

 この点を考えますと、この事件は、弱者のための制度である故に持ち上がったのであって、”弱者切り捨て”とする批判は、当たらないのではないかと思うのです。弱者のための制度には、必ず、”弱者を装う不正な者”が現れるのですから。

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