時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

原発再稼働―損害が発生する問題の決め方

 政府は、ようやく大飯原原発の再稼働に向けて動き出したようです。その一方で、反対派の人々の批判の声もエスカレーションしておりますが、ここで、冷静になって考えてみるべきことは、損害が発生する問題の決め方ではないかと思うのです。

 誰もが、プラス効果を受けたり、利益を享受できる問題については、合意の形成は容易です。反対者がいないのですから。しかしながら、原発の再稼働のように、賛否両論に分かれ、誰かに明確に損害が発生する問題に関しては、広範囲に拒否権を分散して付与しますと、損害の押し付け問題が発生します。例えば、原発の再稼働に際して、国から市町村、さらには、首長から住民まで、広範囲の合意を必要としますと、たった一つの自治体や機関が合意を拒否しただけで、原発は再稼働ができなくなります。事故リスクとは違い、損害や損失の発生は確実ですので、一部の強固な反対で、産業界や一般国民など、損害を受ける側の権利は完全に無視されることになるのです。反対派の人々の無責任さと冷酷さは、自らの要求が、他の人々に被害を与えると言うことに思い至らないところにあります。

 民主党政権の手法は、合意権=拒否権を自治体の各層にばらまく一方で、損失を受ける側に対しては、政策決定過程から排除してきました。こうした手続きでは、国民の合意を形成したとは言い難いのではないでしょうか。

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