時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

民主党政権は弱者の恫喝に立ち向かえるのか

 本日の朝刊に掲載されておりました所信表明演説を読みますと、鳩山首相は、”友愛政治”の方針のもとで、弱い立場にある人々や少数の人々の視点が尊重されるべきことを、国民に伝えたかったようです。もちろん、弱者救済は政府の大事な仕事の一つではありますが、現代という時代には、必ずしも弱者が”弱い”とは限らない場合があります。

 例えば、北朝鮮という国家は、経済レベルで見ますと最貧国に分類されています。しかしながら、その行動パターンは、周辺諸国や国際社会への恫喝であり、狡猾かつ危険な瀬戸際外交を繰り返しています。中国もまた、日本国に対しては強圧的な態度で接しながら、責任や負担が伴う場面になりますと、途端に立場の弱い途上国に豹変します。充分に強国に成長したにも拘わらず、中国もまた、強者と弱者の二つの顔を巧妙に使い分けているのです。こうした事例は、国際社会のみならず、国内の日常生活においてもしばしば見聞されることです。この傾向は、組織化されますとさらに強まるのです。

 情けは逆に恨みを買うことさえあるのですから、弱者救済は、言葉で言うほどに単純なことでもありません。訴える場を持たず、本来救われるべき人々が取り残される一方で、国家レベル、あるいは、集団化された”弱者の恫喝”はまかり通るかもしれないのです。弱者には弱者の戦略がありますので、政治家には、その主張が正当であるのか、あるいは、救うべきは誰なのかを見極める鋭い洞察力が必要なのではないかと思うのです。

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