時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

橋下知事―忍耐も政治家の資質

 自分の意見に反論されることは、誰もが、不愉快なものです。その上、その批判者が部下ともなれば、頭に血が上るのも理解できます。しかしながら、政治家である限り、橋下知事には耐えていただきたかったと思うのです。

 得てして、他者の意見に聞く耳を持たなくなると、政治家は、独裁者に変貌してゆくものです。かつて、中国の毛沢東は、国民に対して”百花斉放”のスローガンの下で、共産党に対する非難を国民に奨励しました。その結果はどうなったかと申しますと、毛沢東は、手厳しい批判を行った人々を、政治権力で粛清してしまったのです。この頃から、”毛沢東は二人いる”、とまで陰口をたたかれるようになりました。橋下知事もまた、府政の立て直しに乗り出した改革者としてのイメージがありましたが、この事件をきっかけとして、それは一変してしまうかもしれません。しかも、言論の自由が保障されている民主主義国家にあって、発言を理由に政治家が職員を処分するとなりますと、なおさらイメージがダウンしてしまいます。不愉快な反論であっても、その中には、考えさせられる部分を含んでいることもあるのですから、冷静になって、よくよく反論の内容を吟味することも大切なことです。

 独裁国家では、政治権力は国民を黙らせることに使われますが、自由な国でこれを行いますと、政治家の方が非難を浴びることになります。自由な国の政治家には、忍耐力が必要であり、反論に対しては、権力ではなく、言論で臨むべきであったと思うのです。

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