時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

マニフェスト方式からのステップ・アップを

 そもそも、マニフェストを掲げて選挙に臨むという方法が導入された理由は、単に候補者を選ぶという方式では、”白紙委任”となるという欠点があったからです。各政党の基本方針がマニフェストに示されることで、国民は、自らの信条に照らし、好ましい政策を掲げる政党を選ぶことができるようになりました。この意味において、マニフェストには、民主主義において意義があったということが言えます。

 ところが、民主党政権の誕生によって判明したことは、このマニフェスト方式にも欠点があるということなのではないか、と思うのです。民主党は、選挙期間にあっては、”国民のための政治”を連呼しましたが、実際に政権与党となりますと、国民ではなく、”マニフェストのための政治”に陥っているようです。マニフェストを”印籠”よろしく国民にかざす一方で、マニフェストが呪縛となって身動きがとれなくなってもいます。この精神構造は、憲法第9条擁護論者にも通じるのですが、マニフェスト方式の欠陥を自覚すれば、このジレンマから抜けることはできます。

 欠点を欠点として受け入れることは、制度を発展させるために不可欠な態度です。民主党は、マニフェスト方式の欠陥を補正したり、直す努力こそ国民に示すべきと思うのです。国会審議の重視は言うまでもなく、一般の法案にも国民投票を導入することも一案ですし、投票方法も工夫次第では、より国民の選好を反映させることができます。マニフェストの呪縛は、国民にとりましても悲劇なのですから。

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