時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

アフガニスタンは見捨てられるのか

 民主党政権がインド洋での給油活動から撤退することを決めたことに加えて、アメリカでも、オバマ大統領は、アフガニスタンへの増派には否定的な見解を示していると伝わります。アフガニスタンの将来には、暗雲が立ち込めており、タリバン政権復活の悪夢も脳裏をよぎります。

 かつて、タリバン政権が行った恐怖政治を、アフガニスタンの国民はまだ覚えているはずです。イスラム原理主義に基づく厳格な体制にあっては、イスラム法に背いた者の公開処刑は日常茶飯事でした。タリバンが、国民を追い立てるように鞭打つ映像は衝撃的でもありました。その上、女性は外出さえ制限され、教育も受けられず、男子たちもまた、タリバン支配のイスラム神学校に通わせられるにのみならず、少年兵にさせられていたのです。タリバンの支配の残酷さは、他のイスラム諸国の比ではありません。もし、アフガニスタンから兵力が撤退するとなりますと、不正選挙事件で信頼を損ねているカルザイ政権の基盤は揺らぎ、タリバン政権が蘇る可能性は否定できません。アフガニスタンは、再び暗黒時代に逆戻りしてしまうのです。また、アフガニスタンが”けし畑”に戻りますと、各国にも麻薬汚染も広がることになります。

 民主主義の国では、国民は、参政権を行使することで政権を変えることもできますが、一たび暴力を背景にした原理主義体制が成立しますと、それを変えることは大変難しくなります。民主党は、インド洋での給油活動撤退の代案として、民生部門での協力を検討しているようですが、タリバン政権が成立しますと、この活動もほとんど不可能になります。アフガニスタンを支援するならば、ぜひとも、タリバンの復活を阻止するような政策に協力していただきたいと思うのです。

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