時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

インド洋給油活動の撤退―日本国の分水嶺なら

 民主党政権は、インド洋給油活動からの撤退を決めたと報じられています。もしかしますと、この決定は、日本国の運命を分ける分水嶺となるとも限らず、然したる議論もなく決定することは、将来に禍根を残すのではないかと思うのです。

(1)マニフェストに掲載されていない
 民主党は、マニフェストは”公約”であるとしてその実現に勤しんでいるようですが、インド洋からの自衛隊撤退は、マニフェストに掲載されていなかったと言います。マニフェスト外の政策を決定する際には、マニフェスト内の政策以上に、慎重な議論と国民の合意を要するはずです。

(2)アフガニスタンの意向?
 鳩山首相は、撤退の理由として、アフガニスタン側が給油活動に固執していないことを挙げております。岡田外相は、アフガニスタン政府の意向を伺いに訪問したのでしょうが、その時の会見では、給油活動の話題は出なかったと報じられていました。本当に、アフガニスタン側が消極的であったのか、国民には確かめようがないのです(不透明な決定・・・)。

(3)国会での議論は?
 特別国会は、今月の23日に開かれるそうですが、給油活動の継続こそ、国会で十分審議を尽くすべきです。にもかかわらず、期限切れを理由に審議もしないとなりますと、重大な国政上の問題が、軽視されたことになります。国家の命運を決するような議題は、国民の代表が集まる国会において優先して議論すべきです。

(4)世論調査の怪
 民主党政権についての世論調査は実施されているようですが、不思議なことに、質問項目にインド洋給油活動からの撤退に関する賛否が見当たりません。これでは、国民には知らされていない合意か”密約”があるのではないかと疑われてしまいます。

 もし、この決定が、将来における日本国の信頼を損ね、独立を危うくするような事態を招くとしますと、一体、誰が責任をとるというのでしょうか。国会での議論も世論も無視して危うい決定を行うとしますと、これは、民主主義に反すると思うのです。

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