時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

扶養控除の廃止―失業のバッファーとしての家族

 子供手当ては配偶者控除と扶養控除の廃止とセットになっており、まずは、扶養控除が先行して廃止されることが検討されているそうです。廃止の理由は、子供手当てが支給される上に、子供の扶養を控除する必要はないと説明されていますが、家族の扶養が失業のバッファーになっていることも確かなように思うのです。

 聞くところによりますと、生活保護は、扶養する家族がいる場合には、支給の申請が却下されるといいます。民法には、家族や親族間の助け合い(第730条)や扶養の義務(第877条)についての条文があり、直系血族や兄弟姉妹以外にも、家庭裁判所は、三親等内の家族においても扶養の義務を負わせることができるとしていますので、失業状態となった場合、家族は、その受け皿として働いていることになります。特に、ニートと呼ばれる人々や若年の失業者、あるいは、アルバイトや非正規社員であるため所得が極めて低い人々は、家族の被扶養者とならざるを得ません。景気が後退し、今年の就職戦線は厳しいとも伝わり、今後とも、被扶養者の数は増加すると予測されます。

 子供手当てには所得制限を設けない一方で、所得がないか、極めて低い被扶養者を抱える世帯から率先して控除を外すということも、何か、バランスを欠いているように思われます。もし、扶養控除を廃止するならば、失業のバッファーの役割を果たしている扶養者に対しては、一定の配慮が必要なのではないしょうか。

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