時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

公共事業の中止は国会で議論を

 時代に合わない大規模公共事業として、群馬県八ッ場ダム熊本県の川辺ダムの名が挙がり、住民を巻き込む形で建設中止の是非が騒動となっているようです。こうした利害関係が交錯する問題こそ、国会において、国民の前で審議すべきなのではないでしょうか。

 国会での審議に際しては、以下の諸点が論点となりそうです。

(1)事業の必要性
 八ッ場ダムは多目的ダムであり、主たる目的は、水害を防ぐ治水と貯水にあるようです。また、2008年の第三回の変更によって、発電も目的に追加されたそうです(水力発電なので、自然エネルギーではある・・・)。国などの主張によりますと、水害に関しては、堤防で代替できるものの(それでも豪雨の際には必要とも・・・)、将来的に多摩川地区の地下水のくみ上げを停止する予定であるため、貯水ダムとしての必要性はあるとのことです。中止賛成派も反対派も、この将来的な貯水の必要性を満たす方法について、代替案を示すなど、十分な説明を要することになります。

(2)中止費用と将来の負担
 八ッ場ダムを建設中止とした場合、生活再建費用や新たな治水事業が発生し、むしろ、費用がかさむとの主張があるようです。もちろん、既存の事業を中止して新たなダムを一から建設するとなりますと、これもナンセンスなお話です。そこで、建設されたダムの維持費を含めて、将来的に発生する全ての負担を試算し、どちらが合理的であるのか、検討する必要があります。

(3)ダム建設費用の適切性
 八ッ場ダムの建設費用については、”むだ”と指摘されてきたように、総費用が4600億円という巨額にのぼりながら、この額が事業費として適切であるのか論じられていません。支出を洗い直すことで、”むだ”の具体的な内容が明らかとなれば、事業費を圧縮するという方法も検討課題となります。

(4)事業計画の再変更の可能性
 八ッ場ダムについては、計三回の変更があったそうです。もし、必要と判断された場合であっても、目的に合わせて事業計画を縮小することもできるはずです。

 以上に論点を挙げてみましたが、法律によって定められた事業を、政府が問答無用で中止を決定しますと、権力分立が揺らぐことにもなります。ここは、各政党とも調査を行い、国会の審議を通して、誰もが納得できる結論を得られるよう努めるべきと思うのです。

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