時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国の南シナ海埋め立ての非常識な弁明

 領有権争いが存在する南シナ海において、中国が、一方的に浅瀬の埋め立てを行い、空港まで建設しようとしている問題について、米海軍のグリナート作戦部長と中国海軍の呉勝利司令官、即ち、米中の海軍トップ間で、テレビ会談が行われたそうです。この時の会話の模様が報じられておりますが、中国の弁明には驚かされます。

 呉司令官の説明によりますと、埋め立ての目的は、「気象予報や海洋捜索、救助などの公共サービス機能を改善する」こととしており、軍事利用は否定しております。あくまでも平和目的であり、航行の自由を脅かすものではないと強調しているのです。しかしながら、この会談の主役が、制服組とはいえ軍のトップであることは、埋め立て事業が軍の活動とリンケージしていることを如実に物語っております。また、同司令官は、「条件が整えば、将来的に国際機関、米国や関係諸国が捜索や救助、災害救援で協力するためにこれらの施設を使用することを歓迎する」とも述べています。条件が整うことは、おそらく永遠にないことでしょうし、何よりも、平和目的であれば、国際法に反する行為であっても許されると考えているところが、常識から著しく外れております。弁明は、全く、弁明になっていないのです。

 これまでの中国の行動を観察しておりますと、既成事実化こそが目的達成の常道と見なしているようです。埋め立て計画が完成したら最後、南シナ海には、中国の海軍、並びに、空軍基地が出現することでしょう。日米はアセアン諸国とも協力し、中国の埋め立て計画は、何としても中止に追い込むべきではないでしょうか。

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