時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

第二次世界大戦時の日米対立の要因は全て解消している

 安倍首相の訪米を以って、日米は、新たな時代を迎えたとも称されているそうです。”新時代”とは、日米同盟の強化を評しての表現と思われます。

 ところで、日米は、戦前にあって中国大陸を舞台に鋭く対立したのですが、平和的解決とはならず、武力による解決とはなったものの、これらの対立には決着が付いております。最後通牒とも言うべきルーズベルト政権から日本国に提示されたハル・ノートには、対日要求が列挙されておりますが、今日、その何れもが解消されているのです。中には、国際法や国際組織の発展によって解消されたものもありますし(植民地独立…)、現実の歴史は、ハル・ノートの構想から大きく外れたものもあります(日米二国間の同盟の成立や中華人民共和国の成立など…)。

 もちろん、如何なる国もそうあるように、現在、日米間において全ての国益が一致するわけではありませんが(TPP交渉の難航…)、少なくとも、日米には、戦前のような摩擦は存在せず、ハル・ノートもまた、過去のものとなったのです。今日の日米同盟の安定を保つためも、戦前の対立解消をここでもう一度確認することは、意義あることではないかと思うのです。

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