時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

宗教団体の宣伝塔を起用する政府

 政府が広告を作成するに際し、特定の宗教団体=創価学会の宣伝塔を起用する例が、最近、頓に増えたように思います。政府は、すべての国民に対して中立的な立場にあらねばならないことを考えますと、公的機関が、宗教あるいは思想的な偏りを見せることは、大変、遺憾なことと思うのです。

 これは、おそらく、創価学会の政治組織である公明党が、政権与党となっていることに起因しているのでしょう。ある意味において、この現象は、政府広告の政治的利権化とも言えます。信者にとりましては仲間内の起用は喜ばしいことなのでしょうが、他の信者ではない国民は、政府と特定宗教集団との癒着に不快感を覚えざるをえません(少なくとも私は、こうした宣伝を見ると眉をひそめてしまいます)。数年前に、社会保険庁の政府広告に6億円の支出を要したことが発覚して問題になったことがありましたが、財政危機にある中で、数億円を費やして広告を行うことの必要性にも疑問があるところです。

 政府広告における宗教団体の宣伝塔の起用は、政府の中立性を侵害し、国民の信頼を損ね、かつ、税金の無駄遣いなのですから、良いことは、何一つとしてないように思うのです。高額の報酬を払ってタレントを起用するよりも、わかりやすいイラストのほうが、余程、国民に受けるのではないでしょうか。