時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

市場における政府の役割は”監督”ではなく”レフェリー”

 最近、国土交通省が、空港の運営について、政府の監督機能を強化する改正案を提出する動きを強めている言います(本日付日経朝刊)。この案によりますと、必要な場合には、国土交通相が、空港会社や航空会社に指導や助言ができるとされていますが、自民党から異論が出ていますように、自由化に逆行する行為と言えそうなのです。

 そもそも、市場における政府の役割は、中立・公平なレフェリーなのではないか、と思うのです。市場というフィールドで活動する企業とはプレーヤーであって、ルールを守っている限りにおいては、自己の戦略に基づいて自由に活動することができます。しかしながら、すべてのスポーツがそうあるように、ゲームがゲームとして成立するためには、きちんとルールが守られているかをウォッチし、反則行為があれば、それを取り除いたり、違反者に罰則を課したりする役割が必要です。市場経済においては、このレフェリーこそ、政府が果たすべき最も重要な役割と考えられるのです。

 もし、政府が、プレーヤーに対して指示を出すことができる監督ということになりますと、当然に、プレーヤーは、自由に行動できなくなりますし、また、”監督”と”レフェリー”が同一人物(国土交通省)となることにも問題があります。企業の活力を引き出す自由な市場を構築するには、”監督”ではなく”レフェリー”こそ必要なのではないか、と思うのです。