時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

東京都教育委員会は罪深い

 新聞報道によりますと、都の教育委員会は、都内の4大学をと連携して教員採用の特別枠を設けると言います(本日付産経朝刊)。この制度、どう考えてみましても、よろしくないと思うのです。

 第一に、提携する4大学に対して、行政上の特権を与えることになります(都教委作成の共通カリキュラムを使用・・・)。都は、中立・公正であるべき公的機関ですので、これでは、”官製談合”あるいは”御用達大学院”の設置の如き行為と言えましょう。つまり、特定の大学を優遇し、他の教職大学院を排除することになるのです。

 第二に、優先採用枠の設置は、他大学の大学院出身者を不利な立場に置くことになります。教職といえども公務員ですので、公開の競争試験によって能力主義を原則に採用を決めるべきです。始めから優遇枠を設定しますと、他の応募者との間に、採用試験における不平等が発生してしまうのです。

 第三に、提携する4大学に、創価大学が含まれていることです。この選定には、政治的な圧力の影が見えますし、公的機関が、特定の宗教団体に特権を与えることは、憲法上の問題をも提起します。また、特定の宗教に染まった教職員に教育を任せたいと思う都民が、どれほどいるでしょうか(洗脳の恐怖)。

 以上に挙げたように、この制度は、教職大学院を公平には扱っておらず、他大学院に不利益を与えるものです。優秀な人材を確保したいのならば、教職大学院の給与レベルをアップするなどの措置で十分対応できますし、むしろ、幅広く門戸を開いた方が応募者も増えるはずです。この制度によって、多くの教職を目指す人々に失望を与えるとしたら、まことに、東京都の教育委員会は罪深いと思うのです。