時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

不景気への連鎖スパイラル

 来年度の景気については、どの企業も悲観的な予測を立てているようです。それもそのはず、日本国の経済状況を見渡してみますと、不景気への連鎖スパイラルを起きる要因に満ちあふれているのです。

 しかも、このスパイラルには、政府と民間との二つの源流があります。政府発の不況要因は、放漫財政とそれを補うための増税です。内閣府は、増税不可避を試算しているようですが、増税は、消費を冷やしますので、明らかに不景気の原因となります。また、将来的には温暖化ガスの排出規制も、マイナス要因として働きそうです。もう一方の民間発の不況要因は、資金の商品市場への流入と企業向け融資の減少です。金融機関が、サブプライム問題での損失を埋め合わすために、商品市場へと資金を振り替えた結果、必要経費の資源価格が上昇したことに加えて、企業への貸し渋りも起きることになりました。

 政府による財政出動といった旧来の方法でこれらの要因を取り除けるはずもなく、むしろ、緊縮財政を実施することによって、財政の健全化をはかるしか政府発の不況を防ぐ方法はありません。民間発の不況を防ぐためにも、商品市場への資金の流入を、自律的または他律的にコントロールする必要があるのですが、これもまた、何らの有効な手立ては施されてはいません。現状のままでは、不況への連鎖スパイラルへと転がって行くことになりましょう。このスパイラルを止めるためには、現在の政策を、思いきり180度転換させる必要があるのではないか、と思うのです。