時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

世界同時財政出動案のリスク

 本日の新聞では、アメリカ政府が、各国がGDPの2%の財政出動策を実施すべく、G20会議で呼びかけを行う予定と報道しておりました(日本経済新聞本日付夕刊)。もし、この呼びかけに応じて世界各国が同時に財政出動を行うとしますと、プラス面ばかりではない可能性もあります。

 この協調政策のマイナス面は、各国が、揃って国債発行することから発生しそうです。例えば、(1)各国間の国債の信用力の格差により、国債が消化できな国が発生する、(2)国によっては、国債金利が大幅に上昇する、(3)市中の資金を政府が吸収するため、民間資金が不足する、(4)資金過剰国から不足国へと流れるはずの市場の自律的な調整力が働かなくなる、といったマイナス面が想定できます。

 クラウディング・アウト現象が発生すれば、景気の足を各国総出でひっぱり、再び世界同時不況となりかねません。また、IMFが、金融部門のみならず、財政政策に関する権限を持つことにも疑問があります(財政は国家の主権的権限でありますので・・・)。G20では、多くの諸国が集まるのですから、その是非について、マイナス面を含めて十分に議論すべきと思うのです。

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