時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ASEAN日中韓相互監視制度の不安

 本日の日経新聞の一面に、ASEAN日中韓財務相会議において、将来的にチェンマイ・イニシャチブを拡大させるとともに、域内経済を監視する「AMRO」なる新組織の設立を目指すことで合意したとする記事が掲載されておりました。この「AMRO」には、一体、どのような組織なのでしょうか。

 EUの欧州委員会をモデルとしてるともされていますが、そのEUでも、財政権限は、加盟国の主権的な権限とされていますので、「AMRO」が、各国の財政権にまで踏み込むことを想定しているとしますと、これは、大問題です。何故ならば、加盟国は、自国の財政権の自立性を失い、「AMRO」の決定により、議会における議論や予算案の成立をまつまでもなく、増減税、国債の発行額、予算配分などが決められてしまうかもしれないからです。しかも、この「AMRO」、EUの欧州委員会のように、独立性が保障されているとは限りません。もしかしますと、アジアの覇者を狙う中国の影響下に置かれてしまうかもしれないのです。

 ASEAN日中韓には、体制の違いや領有権をめぐる政治的な対立も根深く、NATOとも大部分のメンバーが重なるEU加盟諸国のように、政治的な共通基盤がありません。こうした状況で、経済協力を進めるますと、むしろ、政治、ならびに、経済的なリスクの方が増大してゆくように思うのです。

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