時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

原発事故の賠償額―放射能の影響が分からなければ決められない

 福島第1原発事故では、周辺に居住する住民の方々の健康被害のみならず、土壌や海水も汚染されたため、広範囲にわたる賠償が予測されています。しかしながら、正確な賠償額は、放射能の正確な影響が判明しない限り、算定できないのではないかと思うのです。

 放射能の人体に与える影響については、専門家の間でも見解が大きく分かれております。僅かでも健康被害が発生するという説がある一方で、少量であれば、むしろ健康を増進させるとする説もあるのです。報じられるところによりますと、原発事故の賠償額は、数兆にのぼるとも試算されているようですが、前者の説が正しければ、将来発生する被害分も合わせて賠償額はさらに膨らむことでしょうし、逆に、後者の説が正しければ、賠償額は、避難、移転、出荷規制、農地の土壌改良、漁業被害・・・といった、実際に発生した実害レベルに留まることになります。

 原発の賠償の財源については、政府負担を考慮した増税論や国債増発論が主張されていますし、当事者である東電もまた、電気料金の値上げを検討しているようです。つまり、最終的には、原発の賠償は国民負担となるのですから、誰もが納得するように、最大限、正確な被害を把握すべきであると思うのです。

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