時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

浜岡原発停止要請―政府の軽率と中部電力の熟慮

 昨日、菅首相は、海江田経済産業省と相談の上、中部電力に対して、浜岡原発の運転全面停止を要請することを決断しました。しかしながら、原発停止による影響が広範囲にわたることを考えますと、この決断は、軽率すぎると思うのです。

 要請を受けた側の中部電力では、政府の要請を受け入れるか否か、結論を出すには至らなかったそうです。東日本大震災により、東北地方の工場の多くは被災し、操業停止に追い込まれていますし、東電管轄内での工場でも、節電を余儀なくされています。被災地の早期復興を実現するためにも、西日本での増産は頼みの綱であり、ここで中部工業地帯の電力供給量に制約が課せられるとしますと、復興の出鼻がくじかれることになりかねません。福島第1原発での事故により、反原発の世論は高まってはいますが、経済への打撃を無視することはできないのではないかと思うのです。国内向けのみならず、輸出も減少し、失業者が増える一方で、所得も減少するとなれば、政府は、一体、どのように責任をとるのでしょうか。それとも、国民には公開していない、隠れた別の理由があるのでしょうか。

 中部電力が、早急に結論を出せなかったことは当然のことであり、重大な決断を安易に下してしまった政府の方が、よほど、非常識です。もし、どうしても運転停止が必要であるならば、中部電力と充分に協議し、代わりとなる電力供給源を確保した上で、東日本大震災の復興のめどがついてから実施すべきではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<a href="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</a>