時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

浜岡原発停止要請は”罠”かもしれない

 福島第1原発の事故が発生して以来、原発反対の声が強まり、昨日も都内ではデモが行われたそうです。原発反対の人々にとっては、浜岡原発停止要請は、菅首相”英断”であるかもしれません。しかしながら、原発反対派の人々は、これが”罠”である可能性に、何故、思い至らないのでしょうか。

 実のところ、浜岡原発を全面的に停止するメリットとは、原発事故のリスクが多少減少する程度であり、あとは、デメリットばかりなのです。東日本大震災の復興の遅れに加えて、例えば・・・

(1)電力供給量の減少による生産の縮小
(2)火力発電などの代替による電気料金の値上げ
(3)中部企業の輸出競争力の低下
(4)中部企業の株価と不動産価格の下落
(5)電力不足と電力コストの上昇による生産拠点の海外移転
(6)生産縮小と海外移転による雇用の喪失
(7)経済の衰退による所得の減少
(8)税収の減収と社会保障費の増加による財政の悪化・・・

 などが想定されます。自国に不利なことばかりなのですから、この決断は、”罠”ではないかと、怪しまれて当然です。しかも、原発を法律で許可してきたわけですから、首相の要請で停止させますと、中部電力に発生する甚大な損失は、国が賠償責任を負うことにもなります(中部電力もまた、株主に訴えられることに・・・)。この損害賠償は、最終的には国民負担なのですから、国民は、東電の賠償に加えて、中部電力の賠償をも背負い込むことになりかねないのです。今からでも遅くはありませんので、首相は、この要請を取り消すべきですし、中部電力も、要請を断るべきなのではないかと思うのです。

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