時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

消費増税―財政と経済の二律背反

 ギリシャに端を発する財政危機は、巨額の財政赤字を抱える日本国にも影響を与えています。野田政権の増税案とは、国際社会から、危惧されている日本国の財政の信任を得ることを目的としているようです。

 これ以上に日本国の財政が悪化しますと、日本国債の暴落が発生し、金融危機に発展しかねない事態となります。野田政権は、一先ずは、増税を”国際公約”とすることで、日本国債の価値を維持したいと考えたのでしょう。信頼性を保つことができれば、国債の引き受け手も現れますので、国債増発も怖くはありません(ばらまき政策を継続できる…)。しかしながら、その一方で、増税は、国民の可処分所得を確実に減らしますので、経済にとりましては、マイナス影響は必至です。つまり、増税には、財政と経済との間に二律背反があるのです。もっとも、景気が後退するとしますと、税収も減少しますので、必ずしも、財政にプラスに働くとも限りません。

 こうした増税がもたらすプラス・マイナスの効果を考慮しますと、増税を実施したとしても、歳入の減少が起きた時点で見直すか、あるいは、増税ではなく、大幅な歳出削減で日本国の財政の国際的な信認を得るという方法も考えられます。少なくとも、増税だけが、唯一の道ではありませんので、様々な角度からの検討があってもよいと思うのです。

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