時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

外国の土地を買うことの波紋

 民主党の小沢代表が、韓国の済州島を買えばよい、と発言したかことが、日韓両国で波紋を広げているようです。小沢代表は、経済がグローバル化した時代には、外国の企業でも他国の不動産を購入することができるのだから、お互い様であると言いたかったようなのですが、外国の土地を買うことには、やはり軋轢が生じることも否めない事実です。

 例えば、パレスチナ紛争にあっては、ユダヤ人入植者がパレスチナの土地を買い集めたことが、後々、解決困難な民族紛争へと発展することになりました。現在では、外国人による土地の購入が、領有権に影響を与えることはありませんが、80年代にジャパン・マネーが世界を駆け巡り、アメリカの不動産を多数購入したことも、その後のジャパン・バッシングの遠因ともなったとも指摘されています。特に、アメリカの象徴とも称されたニューヨークのエンパイアー・ステイト・ビルの買収は、アメリカ国民に大変なショックと屈辱感を与えたと伝えられています。自由主義経済の先駆者であったアメリカにおいてすら、外国資本による不動産投資は、感情的な反発を招いたのです。

 資金力に物を言わせて、経済合理性からの投資でも、相手国から望まれたものでもなく、外国の土地をむやみに買い漁るとなりますと、法には触れなくても、相手国の国民の心のどこかに触れてしまうものなのかもしれません。韓国資本が対馬の土地を買い占めることに日本国民が不快感と警戒感を持つように、韓国もまた、小沢氏の発言に神経をとがらせたのでしょう。外国の土地を買う行為には、相手国への十分な配慮とマナーが必要なように思うのです。

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