時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

“消えた年金”とならないために

 政界へのイルミナティーの影響力を踏まえますと、今般の内閣改造の目的の一つである年金制度の改革が要注意であることは、昨日指摘いたしました。

 

 そこで、現在の具体的年金積立の運用状況につきまして、「知恵蔵」にて調べてみますと、運用を行っているのは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)であり、「2006年に設立され、13年度末の収益率は8.64%、収益額は10兆2207億円、運用資産額は126兆5771億円となっている。運用資産では、同様の業務を行うノルウェー政府年金基金(約6千億ドル)の2倍以上、世界最大の投資ファンドと呼ばれるアブダビ投資庁(約9千億ドル)をもはるかに上回る規模である」そうです。さらに、「年金積立金は、長期にわたって資産を保有し安定的に運用することが求められる。このためGPIFでは、どの資産にどの程度配分するかという「資産構成割合(基本ポートフォリオ)」を基に積立金を運用する。GPIFはこの割合について、安倍政権が狙う株価上昇に同調するかのように、13年6月には国内債券を7%引き下げて60%とし、国内株式、外国債券、外国株式を数%ずつ引き上げている。更に14年6月24日に閣議決定した成長戦略では、年金積立金の運用を早期に見直す方針が盛り込まれ、秋には国内外株式などのリスク資産を増やすという。GPIFが保有する国内株式は、東証1部上場株式の時価総額(5月末)の約5%に相当し、わずか1%の国内株式増加でも、市場には1兆円を超える資金が流れ込むため、市場に与える影響は大きい。そのため、野党などからは「株価対策だ」との批判があり、年金運用に政治が関わることを懸念する声もある。また、実態は株価対策で政府の市場介入であり、リスクは大きく運用損が出ても誰も責任を取らない仕組みだと指摘する識者もある」そうです。

 

 現在、年金制度は、株式・債権市場に依存する形になりつつあり、この状態は、利益が上がっている間は機能するものの、仮に、損益を出すようになった場合に大きな問題が生じます。すなわち、リスク資産への傾斜がこのまま強まっていった場合、ブラック・マンデーのような大幅な株価の計画下落が発生した際に、年金の支払いが大幅減額、もしくは、不可能となる可能性を示しているのです。穴埋めのために通貨の発行量を増やしますと、インフレの発生も懸念されてくることになるでしょう。

 

 年金制度改革と言いますと、受給年齢などの問題に関心がゆきますが、そもそも受給は、積立金があっての受給ですので、積立金が損害を被った場合に、“もともこもない”ということになります。このように考えますと、むしろ運用・管理面こそ問題であり、政府における年金受給年齢などをめぐる議論が目くらましとなっている間に、国民知らぬ間に「資産構成割合(基本ポートフォリオ)」におけるリスク資産へ割合が、年金制度の不安定化に繋がるレベルにまで達し、“消えた年金”とならないよう、警戒してゆく必要があると言えるでしょう。運用・管理は、ゴールドマンサックスなどのイルミナティー系の投資ファンドに委託されているとも言われておりますので、極めて危険な状況にあると言えるのです。

 

(続く)