時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

頼りにならない国連

 我が国には、戦後一貫して”国連神話”なるものが存在していました。それは、日本国が安全保障の危機に瀕するような場合には、正義の味方の国連が助けに来てくれる!という勧善懲悪のストーリーでした。しかしながら、よくよく考えてみますと、この出来すぎたお話には、どこか危うい雰囲気が漂っているのです。

 何故ならば、安全保障問題を専門的扱う安全保障理事会では、常任理事国が拒否権を発動した場合、あらゆる決議が成立しないからです。これは、今さら言うべきことでもないのですが、例えば、我が国と常任理事国である中国との間に紛争が生じた場合を想定してみますと、いざ!という時には、国連がまったくあてにならないことは一目瞭然です。しかも、最近の報道によりますと、国連において、ロビー活動や職員の採用を通して、急速に中国の影響力が拡大している、とも言います。必ずしも、国連は、中立・公正な組織ではないことに留意する必要がありましょう。

 民主党の政策案を見てみますと、安全保障分野において国連に対して過度の期待を抱いているように思われます。頼りにならない機関に依存する政策に危惧を感じているのは、私のみなのでしょうか?