時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

本当に非難すべき相手とは

 第二次世界大戦を戦った諸国が、過去の歴史問題を非難しあうことが、本当に、後の世に平和と安全をもたらすことになるのでしょうか。本当に心して戦うべき相手とは、過去ではなく現在にあるのではないでしょうか。核兵器の廃絶を訴えるならば、NPT条約を蔑にして核開発を行った北朝鮮やイランといった現実の脅威に対して全力で戦うべきでしょう。人道を説くならば、中国や北朝鮮といった現実に人権が侵害されている国々に対して、体制崩壊をも視野にいれた強い圧力をかけるべきでしょう。そうして、侵略を問題とするならば、半世紀もの間侵略状態にあるチベット問題を問わなくてはなりません。攻撃の矛先が、現実の悪にではなく過去の悪へと向きを変えられ、あたかも既に存在していない幻影と闘わされているように思えてならないのです。