時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

消費税率アップは逆効果?

 現在、我が国の財政が危機的な状況にあることに加えて、2009年に基礎年金の国庫負担分が2分の1になることから、消費税率上げをめぐる議論がなされております。もちろん、その目的は、税率を上げることによって歳入を増やし、不足分の財源に充てようということなのですが、ひとつ間違いますと、逆効果となるおそれがあります。

 何故ならば、農業を経済の基盤とした時代における”年貢”とは異なって、市場主義経済においては、取引税や消費税の税収は、税率のみならず、取引の総量に依存するからです。つまり、市場経済における間接税のシステムでは、政府の歳入と国民の所得との関係はゼロ=サムとはならず、もしも税率アップによって経済が停滞することになれば、政府の歳入もこれに比例して減少してしまうのです。このため、消費税率を上げても、必ずしも、思ったほどの増収には繋がらず、しかも、自国経済の足を引っ張りかねないのです。

 このように考えますと、やはり、まずは歳出の削減を徹底し、行政のスリム化を図る方が、政府とっても国民にとっても良策に思われるのですが、いかがでしょうか。