時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

制度改革への地殻変動

 今参議院選挙で明らかになったように、近年の選挙は、国民が政策選択を行うよりも、現状への不満を表現する手段となってしまっているように見受けられます。この結果、衆議院参議院とで第一党が異なるというねじれ現象を生み出し、両院制が相互に牽制し合って機能不全を起こす予感すら感じさせるのです。

 こうした現象は、我が国のみならず、変化の激しい現代国家には一般的に見られるようなっています。大統領制を採用しているアメリカやフランスでも、しばしば大統領と議会との間にねじれ現象が生じてきました。国民が現状に満足することはめったにはありませんので、選挙のたびに、不満を吸収した野党側が多数党になることは大いにあり得ることなのです。

 この状況を放置しますと、政治機能は麻痺し、政局の不安定化により、結局は国民自身が不利益を被ることになります。それでは、どうしたらよいのでしょうか。こうした麻痺状態を回避する方法は、ないわけではありません。各機関の役割や政策権限を明確化し、どの分野でどの機関が優先的な決定権を持つのか、もう一度原点に返って整理してみるのです。制度改革への地殻変動は、もう始まっているのかもしれません。