時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

正直者に冷たい民主党の年金制度改革案?

 民主党は、かねてより年金制度の改革案としまして、基礎年金部分を全額国庫負担とする案を主張してきました。しかしながら、この案の実施プロセスについては、党の公約や政策案には何ら詳細が説明されておらず、このままでは、国民は、この案の賛否を決めることができません。いざ、実施されてみて、”びっくり”の結果になりかねないのです。

 最大の疑問点は、これまで基礎年金を納めてきた人々と未加入未納付の人々とが、まったく同じように扱われるのかどうか、という点です。つまり、これまでの納付総額は、支給額には全く反映されず、同じスタートラインから同額支給となるのかどうか、不明なのです。もし同じであるとしますと、正直に政府を信じて年金を納めてきた人々は、何か裏切られたような不公平感を味わうにちがいありません。”将来的には年金制度は崩壊する”と読んで、あえて年金を納めない人も多くいるわけですから、遵法精神に欠けている人の方が”得”をする、という結果になってしまいます。これでは、国家的なモラルハザードとなりましょう。このような制度を導入するならば、年金加入者に対しては、少なくとも、これまでの年金納付額を全額返却しなくては、国家の政策に備わるべき公平性が欠けてしまうのです。

 これは、心配性の私の、取り越し苦労なのでしょうか?