時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

倫理と愛国との葛藤が待っている中国の人々

 北京オリンピック聖火リレーとともに、世界各地では、動員された中国人による大規模な愛国主義運動の嵐が吹き荒れました。しかしながら、この愛国主義は、あまりに空しい結末を迎えるように思うのです。

 人々の耳目を集めるという意味においては、確かに、こうした大規模なデモンストレーションは大きな効果があったかもしれません。その一方で、自国が行ったチベット侵略と弾圧を、数の力で擁護しようとしても、それは所詮は無理なことですし、また、誰の賛同をも得られなことも確かです。もし、中国の言い分が正当であれば、国際世論は、こぞって中国側に味方したことでしょう。結果は中国政府の思惑とは逆であって、むしろ、中国批判と中国警戒論とを強めてしまったのです。

 時間の経過とともに、少しづつではありますが、中国国内でも、チベットで起きたことの真実が広く伝わるかもしれません。その時、中国の人々は、倫理と愛国、あるいは、国際社会の一員であることと愛国との間の葛藤に苦しむことになりましょう(中国国民は、国際法に従えば、チベットの独立を受け入れるざるを得ない・・・)。もし、この心の葛藤が起きないとしますと、中国共産党の国民洗脳教育が成功した証となるのですが、それもまた、中国という国の不幸と言えるかもしれません。

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